2008年6月1日の朝日新聞[医療]に「慢性腎臓病に『2人主治医(専門医と開業医との連携)』」記事が載っていた。
腎臓の働きが徐々に低下する「慢性腎臓病(CKD)」は、症状が進めば透析治療が必要となるだけでなく、脳卒中や心筋梗塞のリスクも高まる。早めの治療で回復も期待できるが、治療が長期にわたるため、腎臓の専門医と開業医が一緒に患者を診る試みが始まっている。
CKDは、腎臓の働きや血液を濾過する力などに着目し、米国で提唱された新しい病気の概念。尿蛋白の有無や腎臓の濾過能力(糸球体濾過量)などに応じてステージ1~5に分れる。
ステージ3以上(糸球体濾過量30~59ml/min/1.73平米以下)のCKDは推計で全国約一千万人といわれる。
慢性腎臓病(CKD)とは、
①尿蛋白などの腎障害
②糸球体濾過量が60ml/min/1.73平米未満
のいずれかが3ヶ月以上続く病気。
CKDは症状に乏しく、疲労感やむくみで気づいたときには透析直前ということも多い。
クレアチニンは年齢や性別に応じて糸球体濾過量の計算に使われる。
男性1.0dl/mg未満、女性0.7dl/mg未満が正常範囲の目安となる。(
女性の方が許容値が低い)
◇クレアチニンは、体内の代謝活動によって生産される物質の一つで、腎臓のろ過機能が低下すると尿中に排出できなくなるため、血液中に出てきます。したがって、血清クレアチニン値が高いほど、血液をろ過する腎臓の能力が低下していることになる。
[
糸球体濾過量の早見表(性別)、病症のステージ]
この表を見る限り、
加齢とともに腎臓の機能が低下して行くのがよくわかる。
CKDによる脳卒中・心筋梗塞の発症リスクに関しては次の値が示されている。
糸球体濾過量(ml/min/1.73平米)→脳卒中・心筋梗塞の発症リスク
60以上→1.0、45~59→1.4、30~44→2.0、15~29→2.8、15未満→3.4
◇尿中に出てくるタンパク質(尿蛋白)のなかでアルブミンという成分は腎臓が正常な場合にはほとんど尿には出てきません(1日30mg未満)。しかし慢性腎臓病(特に糖尿病、高血圧、動脈硬化、慢性糸球体腎炎などが原因の場合)になると尿中にアルブミンが漏れ出るようになり、それが多くなると(1日300 mg以上)尿検査で蛋白が陽性になる。
CKDを早期発見するには、健診や人間ドックでのクレアチニン検査が欠かせない。だが、40歳以上の市町村健診で必須項目だったクレアチニン検査が、2008年春始まった
特定健診では外れたという。一部の市町村は、引き続き独自に検査項目に入れている。
腎臓病に詳しい病院を探すには、
日本腎臓学会が認定した約3千人の氏名と所属を公表している。また、同学会の専門医らでつくる「
腎臓ネット」では、クレアチニンの値から糸球体濾過量を簡単に計算できるほか、希望登録した専門医の得意分野などを検索できる。
<予防と日常生活の注意点>
規則正しい生活を心がける。
慢性腎不全を予防し、病状を悪化させないためには、日常生活の過ごし方が大きく影響する。慢性腎不全に限ったことではないが、
睡眠時間を十分にとって、規則正しい生活を送ることが予防と治療の両面での基本となる。会社勤めをしている人は、残業や付き合いなどで、とにかく生活のリズムが崩れがちなので、十分に注意しましょう。
また、
腎臓は水分が不足すると負担が大きくなるので、水分を十分に摂取することも重要。毎日、尿量*の1.2~1.4倍程度の水分をとるように心がけたい。
また、
排尿を我慢しないことも大切。
*尿量:一般的に、成人は1日に1.5L(1,000~2,000mL)
「藤岡琢也さん76歳、腎不全で死去…厳しく優しい“日本のオヤジ”に幕」[2006年10月21日]サンケイスポーツ によれば、
TBS系ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」の父親役で知られる俳優、藤岡琢也さんが20日午後3時18分、慢性腎不全のため東京・信濃町の慶応義塾大学病院で死去した。享年76歳。
大家族の父、岡倉大吉役を15年にわたって好演。“日本のオヤジ”としてお茶の間を魅了し続けたが、新シリーズ開始を目前に控えた今年2月に肺炎で入院し降板。糖尿病のため、人工透析を受けるなど闘病生活が続いていた。
国民的人気ドラマで説教くさいが心優しいオヤジとしてお茶の間に親しまれた藤岡さんがこの世を去った。
現代におけるオヤジの存在感が低下していく中で「説教くさいが心優しいオヤジ」を失ったのは大きい。藤岡琢也さんは、実際の私生活では子供はいなかったそうであるが、子供への憧憬がいい演技につながったのかも知れない。後釜は、またそれに相応しいと思われる宇津井健(74歳)さんだから期待できるが、宇津井健さんも歳も歳だから無理をされないように気をつけていただきたいものである。
そこで、慢性腎不全の症状、原因、検査と診断、予防について調べた。
(腎機能の目安であるクレアチニンは定期健診で測定されるが、その基準値は、男性0.7~1.3mg/dl、女性0.5~1.0mg/dlとされる。小生の場合、昨年12月の測定値は0.77だからまずまずであるが、いつ基準値を越えるようになるかは分からない。)
腎臓は体液をろ過し、からだにとって必要な成分だけを体内に戻し、老廃物を尿として体外に排出するという重要な働きをしています。また、体液の成分の割合や血圧を調節したり、ホルモンを分泌する等、からだの内部環境を一定の状態に保つ働きもしています。
<症状>
慢性腎不全は、何らかの腎臓障害が原因となって、一つの腎臓に約100万個あるネフロンという組織が破壊され、腎臓全体の機能が著しく低下した状態です。
腎臓の機能が低下すると、血液中の老廃物がうまく排出されずに体内にたまる等、からだの内部環境を維持することが難しくなってきます。
慢性腎不全は、数年から十数年以上という長い期間をかけて少しずつ腎機能が失われていくのが特徴です。慢性腎不全では、一度失った機能を元に戻すことはできません。
慢性腎不全は、初期のうちは自覚症状が現れにくく、多くの場合気づかないうちに症状が進行してしまいます。腎機能の低下が進むにつれて、食欲不振や全身の倦怠感などの症状が現れ始め、やがて、吐き気、嘔吐、不眠、頭痛、息切れ、呼吸困難、むくみなどがみられるようになり、日常生活にも支障をきたすようになってきます。腎不全の末期では、腎臓がほとんど機能しなくなるため、最終的には腎臓に代わって血液を浄化する透析療法が必要になります。
<原因>
現在、最も多くみられる原因疾患は慢性腎炎で、透析療法を受けている人のほぼ半数が慢性糸球体腎炎から慢性腎不全に陥ったケースですが、
最近は続発性の慢性腎不全の割合が増える傾向にあります。なかでも、糖尿病の合併症の一つである糖尿病性腎症や、高血圧が続くことによって腎臓組織が萎縮する腎硬化症が増加しています。即ち生活習慣病の延長線上にこの病気はあるのです。
このほか、痛風の人に起こる痛風腎、全身性エリテマトーデスなどの膠原病に起因するループス腎炎、慢性腎盂腎炎などの感染症、多発性のう胞腎などの遺伝性疾患も慢性腎不全の原因となることがあります。
<検査と診断>
・腎臓病の診断に欠かせない尿検査:
腎臓病の診断にあたって基本となるのは尿検査です。尿中に排泄されるたんぱくの量を調べる
尿たんぱく、血尿の有無を確認する
尿潜血反応、尿を遠心分離機にかけて沈殿物を顕微鏡で観察する
尿沈渣などが行われます。
・クレアチニン検査が確定診断の基本:
慢性腎不全の確定診断のためには、血液中のクレアチニン濃度を調べる血清クレアチニン検査が基本となります。
クレアチニンは、体内の代謝活動によって生産される物質の一つで、腎臓のろ過機能が低下すると尿中に排出できなくなるため、血液中に出てきます。したがって、血清クレアチニン値が高いほど、血液をろ過する腎臓の能力が低下していることになります。
一般に
血清クレアチニン値が2mg/dl以上になると、腎機能が正常のときの50%以下にまで落ちた状態とされ、慢性腎不全と診断されます。
ただし、血清クレアチニンは、腎臓の機能が正常なときの半分程度に低下しても、正常値の範囲を示す場合があります。そこで、腎機能の働き具合をより詳しく調べるために、さらにクレアチニン・クリアランスを行います。
クレアチニン・クリアランスは、クレアチニンを尿中に排出する効率を調べる検査で、血清クレアチニンよりも腎機能の低下を早い時期に知ることができます。
クレアチニン・クリアランス値が、1分間当たり50ml以下で慢性腎不全と診断されます。