一昨日(5月26日)の朝日夕刊で「三浦さん、エベレスト登頂」の記事を見て、よくやるなーと感心していたところ、その頃、息子の豪太さんが高山病(高地脳浮腫)にかかっていたとは知らなかった。
それにしても高山病は怖い。モーグルでオリンピックにも出たという、元気で若い豪太さん(38歳)が高山病にかかるのだから。
高山病(高所障害)は①急性高山病、②高地肺水腫、③高所脳浮腫に分けられるが、「
高山病に注意しましょう」、「
高地障害症候群」に高所障害の症状、治療法が載っています。
「
三浦雄一郎 世界最高峰を登る!」にエベレスト頂上に立つ三浦雄一郎さんが載っています。
[5月26日朝日夕刊]
世界最高峰エベレスト(8848mH)に挑んでいた冒険家、三浦雄一郎さん(75)が26日午前7時33分(日本時間同10時48分)ネパール側び南東稜から2度目の登頂を果たした。
三浦さんは北京五輪の今年、中国側からの登頂を目指していた。だが、3月のラサ騒乱で、登頂ルートをネパール側に変更。また、北京五輪の聖火登頂まで各隊とも高所順応ができないなどスケジュールが大幅に遅れた。
「
三浦豪太さん、奇跡の生還だった」2008年5月28日産経新聞によれば
【エベレスト・ベースキャンプ(ネパール)=木村さやか】75歳で世界最高峰・エベレスト(8848メートル)に再登頂したプロスキーヤー、三浦雄一郎さんに同行し、登頂前日の25日に高地脳浮腫に襲われた次男、豪太さん(38)が下山途中、幻覚を見ながら自身で筋肉注射し、九死に一生を得ていたことが分かった。
豪太さんは25日、キャンプ4(C4、8000メートル)を出発した午前8時ごろから、息苦しさを感じていた。前日、C3(7300メートル)から7600メートル地点まで無酸素で登り、「少し無理をしたかな」と思ったが約3時間後、休憩を終えて立ち上がろうとすると足に力が入らず、手の握力がなくなったような感覚に襲われた。 「おれ、おかしいから、たぶん登れないと思う。下りるよ」。心配するアタック隊の五十嵐和哉さん(48)に伝えたが、ベースキャンプ(BC)の無線の周波数などを尋ねられても、全く思いだせない。登攀(とうはん)隊長の村口徳行さん(51)は高地脳浮腫を疑い、「とにかく意識のあるうちに、下りられる限り下りろ。絶対C2(6400メートル)までは下りろ」と指示した。
午前11時半、シェルパ2人が前後について約8300メートル地点からの下山が始まった。途中、豪太さんは左隣に知らない男性がいるように感じていた。その男性がしきりに「早く、早く下りろ」「注射しろ、注射。ザックに入っている薬を使え」という。ザックには雄一郎さんの不整脈の薬のほか、高山病対策の薬や注射器も入っている。出発前に読んだ小説で、高地脳浮腫に有効と書いてあった「デキサメサゾン(ステロイド剤)」の筋肉注射もあった。「ああ、あの注射か」。シェルパに道具を出してもらい、自分でオーバーパンツの上から右ももに注射した。
注射から5分ほどすると、意識が徐々にはっきりしてきたが、手足のしびれは、右手右足の麻痺(まひ)に変わっていった。両足はほとんどふんばれず、左手でロープを握って滑るように下った。左隣の男性は相変わらず、「早く下りろ」などと話しかけてくる。「早くって言ったって、足が動かないんだよ」と言い返したり、前後のシェルパを確認したり…。「死ぬかもしれない」と強烈に感じた。
C2(6400メートル)に着いたのは午後8時ごろ。BCにいた救急医療医の志賀尚子さんに無線で連絡した。志賀さんは高地脳浮腫と診断し、薬や酸素吸入を指示。豪太さんは翌26日午前、BCへ戻った。
エベレストでは今シーズン、無酸素登頂を目指したスイス人のベテラン登山家が死亡している。志賀さんは「デキサメサゾンを早い段階で投与したから意識障害が進まずに下りることができたんでしょう。よく打てましたね」と驚き、注射していなければ「120%危なかった」と話した。
回復した豪太さんは「お父さんのためにと勉強したことを、まさか自分に使うとは思わなかった。これほど死を意識したことはなかった」と振り返った。
我々もこの年末、年始にキリマンジェロを登る計画であり、高度順化のために、富士山とほぼ同じ位の高度で1日留まることにしているが、有益であることを再認識したところ。だからといって無事、最高峰のウフルピーク(5896mH)に立てるかどうかは、個人差もあるので保証の限りではない。
Aさん等が飲んだという「ダイアモックス」について、「薬がわかる本」より調べた。
[
ダイアモックス]
[一般名]アセタゾラミド
[分類]炭酸脱水酵素抑制剤
[処方目的]
緑内障/てんかん(他のてんかん薬の効果不十分な場合に付加)/肺気腫における呼吸性アシードシスの改善/心性浮腫、肝性浮腫/月経前緊張症/メニエール病・メニエール症候群/睡眠時無呼吸症候群
[解説]
ここで取り上げる薬剤は、炭酸脱水素酵素阻害薬と呼ばれるもので、利尿薬として開発された。
しかし、他に有効な利尿薬(サイアザイドなど)が多数開発されたため、アメリカでは浮腫(むくみ)に使われることはない。
[製剤名(商品名)]
アセタゾラミド、ダイアモックス(三和)
[
使用上の注意]
<一般的注意>
①
服用してはいけない場合---
本剤の成分又はスルホンアミド系薬剤に対するアレルギーの前歴/肝硬変などの進行した肝疾患、高度の肝機能障害/無尿、急性腎不全/高クロール血症性アシドーシス、体液中のナトリウム・カリウムが明らかに減少している人、副腎機能不全、アジゾン病
②
長期間、服用してはいけない場合---
慢性閉塞隅角緑内障
③
慎重に服用すべき場合---
重い冠硬化症・脳動脈硬化症・腎機能障害/肝疾患、肝機能障害/糖尿病、耐糖能異常/レスピレータなどを必要とする重い炭酸ガス血症/ジギタリス製剤、糖質副腎皮質ホルモン薬・副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の服用中/減塩療法中/乳児、高齢者
④
定期検査---
服用すると電解質の失調や血液障害などがおこることがあるので、定期的に血液検査を受ける必要がある。
⑤
ビタミンC---
服用中にビタミンCを大量にとると、腎結石や尿路結石がおこりやすくなる。摂取量などについて処方医と相談して下さい。
⑥妊娠初期
⑦その他---
授乳婦→回避・授乳中止、小児→未確立、危険作業→注意
<
副作用の注意>
-
重大な副作用-
①不快感、口内異常感、めまい、便意、耳鳴り、喘鳴、発汗などのショックがおこることがある。
②再生不良性貧血、溶血性貧血、無顆粒球症、骨髄機能低下、白血球減少、血小板減少、血小板減少紫斑病などがおこることがある。
③中毒性表皮壊死症(ライエル症候群)、皮膚粘膜眼症候群(スティーブンスージョンソン症候群)がおこることがある。
④急性腎不全、腎・尿路結石がおこることがある。
⑤精神錯乱、けいれんなどの中枢神経症状がおこることがある。
-
その他の副作用-
①服用を中止し、すぐに処方医に連絡する副作用:アレルギー性症状(発疹、発熱)
②すぐに処方医に連絡する副作用:電解質失調、高尿酸血症、血糖上昇・低下
③次回、受診した際に処方医に伝える副作用:光線過敏症/食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、腹痛、便秘、味覚異常/四肢の知覚異常、麻痺、めまい、頭痛、興奮、いらいら感、うつ状態、傾眠、見当職障害/一過性近視/聴覚障害/AST・ALT上昇、黄疸/多尿、尿糖、倦怠感、潮紅
■
他の薬剤使用時の注意■
①
本剤との併用で作用が強まる薬剤:ジギタリス製剤、降圧剤
②
併用するとおこりやすい副作用:
(1)フェノバルビタール、・フェニトイン(抗てんかん薬)との併用で、クル病、骨軟化症が現れたとの報告がある。(2)カルバマゼピンと併用すると、その中毒症状が発現する。(3)アスピリンと併用すると本剤の副作用が強まる。(4)糖質副腎皮質ホルモン薬、ACTHとの服用で、過剰のカリウム放出をおこすことがある。
③
併用すると本剤の作用を弱める薬剤:塩化アンモニウム