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インフル脳症が既に50例、7歳が最多-感染研」2009.10.27CBnewsによると
国立感染症研究所感染症情報センターに報告されたインフルエンザ脳症患者数が、今年第28-41週(7月6日-10月11日)の14週間で50例に上ることが分かった。10月26日に同センターで開かれた勉強会で、安井良則主任研究官が述べた。このうち48例が、新型インフルエンザウイルスによる脳症として報告されているという。
脳症患者の報告は16都道府県からあった。年齢別に見ると、7歳が10例で最も多く、中央値は8歳(1-43歳)だった。
安井研究官によると、同センターに報告されるインフルエンザ脳症患者数は、1シーズンに50例ほど。例年の季節性インフルエンザの流行のピーク時より比較的患者数が少ない現段階で、既に50例に達している。ただ、新型インフルエンザへの関心の高まりで報告数が増えた可能性もあるという。
■新型による脳症、8割が軽快
また安井研究官は同日、同センターが実施したインフルエンザ脳症患者の臨床像についての調査結果を報告した。調査は、新型インフルエンザの重要な臨床像の一つである脳症について、情報を明らかすることが目的で、第28週以降にA型インフルエンザウイルスによる脳症として報告された患者が対象。勉強会では、10月16日までに回答があった新型インフルエンザウイルスによる脳症20例の臨床像が紹介された。それによると、20例のうち基礎疾患や既往歴があったのは11例で、熱性けいれんが6例、気管支喘息が5例。
症状では、全例に意識障害があり、発熱したその日のうちに意識障害が出たのが4例で、翌日に出たのが11例、2日後が4例だったが、8日後との回答も1例あった。また、12例で気管支炎や肺炎、低Na血症、多臓器不全といった脳症以外の合併症があった。治療では、抗ウイルス薬が全例に投与されていたほか、ステロイドパルス療法、γグロブリン療法、脳低体温療法がそれぞれ16例、5例、3例で行われていた。
転帰の回答が得られたのは19例で、このうち治癒・軽快したのは15例。後遺症が残ったのは3例で、死亡例は1例だった。
安井研究官は「多くの症例で、インフルエンザ発症後早期に脳症の症状が発現している」と指摘。また、抗ウイルス薬やステロイドパルス療法などによる治療で約8割が軽快しているが、後遺症が残った例や死亡例もあるとし、「引き続き注意深く対応していく必要がある」とした。