(以下、「家庭の医学」より)
はじめは、頭痛、腰痛、そのほかの神経痛のような痛み、だるい感じがある。それらに続き、痛みのある皮膚に、米粒大ぐらいの赤い発疹が5,6個ずつ群がってでき、それが全体として線状、または帯状に並んでくる。だんだん小さな水ぶくれが目だってくる。
1つ1つの水ぶくれの内容は、はじめは透明で、その回りの皮膚が赤くなっているのが特徴。だんだん内容は濁り、なかには出血しているものもあるが、水ぶくれの中心部が黒くなって、へこんでいくのが特色。また、殆ど片方だけにできる(片側性)。
[原因]
子供の時、水疱瘡にかかるとウィルスが体内に潜伏する。
ちょっとした体調不全や免疫が落ちると、この潜伏ウィルスが活性化して、増殖し、皮膚の表面に出てきたものが、帯状疱疹です。多くの場合は、3週間ぐらいでよくなる。
[治療]
1.最近アシクロビル、ARA-Aなどの抗ウィルス薬が使われている。
2.痛みをとるために、非ステロイド性の抗炎症薬の内用又は外用。
3.ビタミンB12の内服も痛みを止め、あとはきれいに治す。
治療上注意しなければならないのは、目のまわり、つまり三叉神経の領域に一致する部位にできるものに、眼球病変を起こすことがあることです。高齢者ではあの「帯状疱疹後神経痛」を残さないためには、できるだけ早期に治療を始めることが必要です。神経痛が残ったときにはペインクリニックで治療を受ける。治療中は安静を守るように注意してください。
以下は、小生とほぼ同年齢のMMさんの体験です。
帯状疱疹という病気になった経験からのメッセージ
2009年11月11日(水)
MM
私としたことが・・・というより私であるがゆえに6回目の入院をして、本日ほぼ一週間で無事退院できました。その経験を皆さまにも解説させていただくことも私の一つの使命だと想いました。病名は、“帯状疱疹(たいじょうほうしん)”というものです(添付3)。
家内はこの病名を知っていましたが、私は初めて聞くものでした。本日午前に退院し、午後の東京での会合に出席し、何人かの方とお話しましたが、この病名をご存じの方は、この病気に罹られたことのあるお一人の方だけで、残りの4人の方はご存じではありませんでした。
単純に言いますと大人になって罹る水疱瘡・・といったものといえるようです。とは云うものの私の場合は最初ひどく激しい頭痛、右腕の痛み、ヒリヒリ感からスタートし、かかりつけの内科医の先生と一緒に何の病気かと悩み、先生に総合病院の神経内科に紹介状を書いていただき、南共済病院で診察を受けたという経緯があり、そこで瞬時に入院加療をリコメンドされました。
症状は、日曜日に頭痛という形で現れ、眠れない痛みに悩まされ、そのまま仕事を休み、水曜日の午前に先ほどのかかりつけの先生のところに行き、悩みの会話をしたという訳です。その間ずっと頭痛と右胸、右腕、右背中の痛みがひどく、夜にその痛さで眠れないという状況が続きました。
次の南共済病院の外来受付は金曜日でしたので、それまで我慢していましたが、かかりつけの先生のところに行った日のその夕方頃から、右腕と右背中に赤い湿疹が出始め、結局これで“帯状疱疹”という病気であろうということがはっきりしました。南共済病院でも神経内科からすぐに皮膚科に移されました。
このことで、最初のひどい頭痛が始まってから、赤い湿疹がでるまで約3日という日数がかかり、その間は病気が何なのか分からずに悩みの時間を過ごしたということになりました。私は大昔髄膜炎を患った経験があり、その時の頭痛のことが頭をチラッとよぎり、少し心配はしました。髄膜炎といいますと、“脳脊髄膜炎”ともいわれ、脳の病気にも近く恐ろしい病気です。
話は飛びましたが、南共済病院では、“帯状疱疹”の治療方法として、すぐに入院して一週間位、治療薬を一日3回点滴するという方法が一番いいと勧められ、女医さんでもありすぐに了承し、そのまま入院になだれ込んだという次第でした。
この“帯状疱疹”という病気に罹られた方で、入院治療をされてという方は少ないようですが、自分だけで治された方で、痛みが長期に残ってしまったというケースもあるようです。私の経験からのリコメンドとしては、“即入院治療”をお薦めしたいと想います。疲れを取るにも入院という手段はいいものです。
ちなみに、この病気の原因は、疲れ、ストレスと言われているようです。私の場合は、インターネット上で細かな英文書類をずっとパソコン上でチェックして、目・右腕が疲れていたことが原因だろうと自分で分析できています。看護師さん曰く、“これ以上疲れたら駄目よ・・と自然に体が教えてくれていると思えばいいのよ・・”でした。
初めにも書きましたように、私の入院は6回目であり、入院慣れしていましたが、過去の病歴、等(現在飲んでいる薬等)につき、6つの書類に同じことを書かされたり、説明させられたりにはうんざりしました。そこで退院したら、自分の過去の病歴(入院だけでなく、一週間以上の通院まで)をリストに整理し、仮に入院というような時には、何部かそのコピーを持参できるようにしようと想いました。
私以外の帯状疱疹の経験物語、データのご紹介
2009年11月12日(木)
MM
私自身は、“帯状疱疹”という病名を知りませんでしたが、自分が罹ってみますと、結構この病気を経験された方がいらっしゃることを知りました。家内の知人で半年も苦しんだ方もいたということを教えてもらいました。その方は入院されないで治療しようとしたことを悔やんでいたそうです。
そういった意味で、この度の私の帯状疱疹の経験談に感応して、0さん、Sさんよりご自身の経験談をお寄せいただきました(添付1、2)ので、一つのデータベースとして皆さまにもご紹介させていただくことにしました。
このOさん、Sさんからのお話からもお分かりいただけると思いますが、帯状疱疹の症状は千差万別ですし、また最初は何の病気かが分からなく戸惑うケースも多そうであることが推測できました。皆さまの今後のご参考になれば幸甚です。
添付1 Oさんの経験
帯状疱疹の完治、なによりです。
自分の母親も去年の冬に帯状疱疹を患いました。
その日の朝、母親が「数日前からお腹にできものができて痛い」というので見てみると「これは一大事」という状況で、すぐに近くの病院に連れて行きました。休日ですが救急外来が開いていましたので、当番の先生に診ていただくと「帯状疱疹です」とすぐに診断されました。
幸いにも母親の症状は軽いものなので、飲み薬と塗り薬で直すことができました。しかし、その後が一騒動でした。自分は子供の頃に水疱瘡をやったらしく、なんともなかったのですが、一緒に病院に連れ添った弟が1週間後に水疱瘡となり1週間以上も仕事を休むこととなりました。
牧野様におかれましては、その後のケアを十分にされ、ますますお元気な好奇心少年からのメールをお待ちしております。
添付2 Sさんのご経験
私も数年前、帯状疱疹になりました。私の場合は口の中の上部(上あご)で夜に歯茎が痛いので歯痛かと思ったのですが、朝になったら顔が腫れていました。かなり顔が変形したのでさすがに公衆に晒すのはどうかと思い(腫れていなくてもそうですが。。)、内科に行ったところよくわからず、腫れも治まらなかったので、次の日総合病院へ。口内の腫れなので歯科へ(国立第2には歯科があるのです)行ったところ、帯状疱疹だといわれました。うがい薬を処方してもらうと共に院内の皮膚科にも行き、抗生物質を処方してもらいました。入院はしませんでした。ヒリヒリして結構痛ですよね。
とにかく完治してよかったですね。
添付3
帯状疱疹(たいじょうほうしん)=帯状ヘルペス
子供の時になった水痘と同じウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が、神経の付け根に残っていて体調が悪いと活性化されて1本の神経支配領域に添って出来ます。経過は多少ずれることがありますが、普通は3~5日位で皮膚の表面に現れて初期は赤い皮疹を作り1~2日位すると水膨も出来ます。皮膚に出来る前から痛みが出現することが多く、痛みの強さは非常に耐えられない強い痛みの人と我慢できる程度の人と稀に全く痛みを伴わないこともあります。偶には痛みでなく痒みを伴うこともあります。間違い易い病気には、皮疹が出た場合は虫刺され・湿疹の訴えで皮膚科に受診することがありますが、皮疹が出て来る前は、痛みの場所に依って脳外科(くも膜下出血など)・眼科(緑内症)耳鼻科(中耳炎など)・整形外科(腰痛・関節痛・肋間神経痛など)内科(狭心症・胃潰瘍・腹痛・気胸など)を心配して他科に受診する場合が比較的多く、他科で疑い病名が否定されてから皮膚科に来院するため治療開始が遅れることがしばしばあります。皮疹・痛み・痒みの範囲が片側の場合は、まず皮膚科の受診をお勧めします。範囲が片側なのは、神経が背部から左右別々に出ているからです。片側性が特徴なので他の病気と区別がつきやすく、皮疹は特徴的な場合が多く、経過も幾つかのパターンはありますが、比較的決まった経過です。皮膚科医には、簡単に診断がつきやすい皮膚病の1つです。