俳優の杉浦直樹さん(79歳)が肺腺がんで9月21日亡くなった。ついこの間までテレビの育毛剤のCMに出ていたので、驚くばかりだ。
男の哀愁漂う演技には定評があり、育毛剤のCMでコミカルな味も出していた。石原裕次郎主演の「錆びたナイフ」に敵役で出ていたというからもう随分昔の話だ。背も高く体が大きいから、以前は、酒豪で知られ日本酒なら一升は軽く、両切りピースを愛飲していたようだ。
79歳といえば男の平均寿命であり、人生を全うした方という見方もできる。お悔やみ申し上げます。
肺がんは、腺がん、扁平上皮がん、小細胞がん、大細胞がんに分類される。
腺がんの発生頻度は、肺がん全体の約45%と最も多く、特に女性の肺がんの約70%はこのタイプ。
腺がんというのは粘膜組織や、粘液を送り出す管など、分泌をおもな働きとする腺細胞が 集まった上皮に発生するもので、肺のほかには胃・腸管・膵臓・胆道系などの消化器系の臓器や 乳腺・子宮内膜・甲状腺などにできる。
以下は肺腺がんについて『
「肺腺がん」とは?/非喫煙者も発症、原因不明』(西日本新聞2007年1月29日)より引用させていただいた。
肺がんの主原因は喫煙ですが、腺がんについてはたばこを吸わないのに発症する人、特に女性が増えている。女性の肺がんで最も多いのが腺がん。大気汚染や環境ホルモンの影響など諸説あるが、理由はまだはっきりしていない。
腺がんは、肺の1番外側の胸膜など肺の末梢に発生しやすいため、初期は、せきや痰などの症状はあまり出ない。腫瘍が大きくなれば、せきや血痰が出るようになり、胸膜から胸腔にがん細胞がこぼれ出て胸水がたまったり、胸壁に浸潤したりして胸が痛む。
腫瘍の大きさや、転移の有無などで進行の度合いを測る。腫瘍が直径3センチ以下でリンパ節に転移していない「1a」の場合、5年生存率が8割で、手術で完治するケースも増えている。
腺がん自体の大きさが例え小さくても、脳や骨、肝臓など遠隔の臓器、周辺のリンパ節に転移しやすいため早期発見が非常に重要です。胸部エックス線撮影やコンピューター断層撮影(CT)で発見できるため、健康な人でも年1回は健康診断を受け、異常があればすぐに精度の高いCT検査を受けることが大切です。
胸膜は肺を包む2枚の薄い膜で、肺そのものの表面を包む臓側胸膜と胸の壁の内側を覆っている壁側胸膜とがある。この2枚の膜の間にはわずかな水があり、呼吸に伴って肺と胸の壁がこすれてしまわないよう潤滑材の役割を果たしている。胸膜は中皮細胞という細胞によってできている。